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安倍晋三~世界とイスラエルにとっての善人の暗殺(Medium)

Mediumに私の新しい記事「安倍晋三~世界とイスラエルにとっての善人の暗殺」が掲載されました。

日本の国政選挙である参議院選挙中の2022年7月8日、安倍晋三・元首相が奈良県奈良市で演説中に襲撃され、死亡。遺影と献花する有権者。2022年7月10日、奈良市にて(写真: Kazuki Oishi/Sipa USA)

 

日本の参議院選挙の投票日を2日後に控えた金曜日、元首相である安倍晋三氏が、奈良の地元候補者の応援演説中に暗殺されました。私はこれを聞き、残念に思いました。彼の国際的な戦略がすべて成功したわけではありませんし、日本を長引く経済不況から十分に立ち直らせたわけでもありません。しかし、それでも安倍氏は日本にとって、世界にとって、イスラエルにとっての良きリーダーだったのです。

安倍元首相は自国にポジティブな影響をもたらしました。イスラエルにとっても、世界にとってもポジティブな存在でした。彼が成し遂げたことは、早急に目に見えるものではありませんが、世界をより安定させる力になっていました。だから、私は彼の死を悼んでいるのです。

日本は(地理的にも政治的にも)中国とロシア、アメリカの狭間にいます。これら巨大なグローバル勢力が日本を取り囲んでいるため、日本はそれらとのバランスを要する独特のポジションに置かれています。安倍晋三氏はそれを理解し、感じ、実際にバランスをとろうと努力していたのです。

アメリカは対中国における奮闘で日本を自らの側に引き込もうとしましたが、安倍氏は日本が不利な争いに引き込まれないようにしながら、アメリカとの関係を良好に保ってきました。日本国民は中国を敵視していません。安倍氏は中国に対する敵対心を抱かせたくなかったのでしょう。

中国にも、日本へ影響を及ぼしたいという強い願望があります。台湾に対するような企てを強いることはしませんが、依然として懸命に影響を及ぼそうとしています。ここでも、安倍氏は雨の合間を縫って、なんとか日本が水をかぶらないようにしたのです。

安倍氏はイスラエルに好感を持っていました。世界という土俵において、イスラエルには特別な役割があり、良好な関係を保つ意義を感じていたのです。彼は日本とイスラエルの友好関係に、単なる経済的、技術的な利益を求めていたのではありません。イスラエルには世界の親分的役割があると、真に感じていたのです。これが、政治経済的な日和見主義とは違う、イスラエルに対する敬意の元となっていました。

実際、一般的に指導者とは、世界におけるイスラエルの役割により敏感です。ボリス・ジョンソン英首相も、世界におけるイスラエルの存在意義に鋭敏な感覚を持っていました。政治家は国際関係に携わっているため、すべての国を結びつけるある種の符号やコネがあること、その中でイスラエルが重要な役割を担っていることを感じ取っているのです。

安倍晋三・元首相の死やボリス・ジョンソン英首相の追い込まれた辞任、スリランカの大混乱、イスラエルの堂々巡りの選挙、ジョー・バイデン米大統領の人気急落などは、リーダーシップの乱れの一例にすぎず、世界的な変化が進行していることを示しています。多くの政府や国家が、向かう先を決断しなければならない今、私はこれらが前向きな変化へとつながることを願っています。

世界は変わらねばなりません。人類はどこへ向かいたいのか、自問自答しなければならないのです。世界には多くの衝突点があり、それに対する包括的な解答を要しています。

世界の指導者も国家も、これまでのような世界はありえず、戦争や政情不安といった絶え間ない脅威にさらされることを理解せねばなりません。世界がより良くつながること、国家と人民のより健全な関係性が求められていることを、私たち皆が理解しなければならないのです。これが、私たちが目指すべきところです。

差し当たり、この変革は指導者が倒れることによって起こっています。これはやさしい変革です。もっと過激な変革は、指導者の凋落ではなく、東欧で起こっているような爆弾投下として起こることになります。

世界的な政治的混乱を利用して人間関係を激変させることができれば、私たち皆がそこから恩恵をこうむることになるでしょう。もし、今変化を避けるならば、私たちは後に痛みを伴う変化を強いられることになります。いずれにせよ、世界は是正を必要としているのです。
[300210]